焼鳥、というのは不思議な料理だと思う。
鶏肉を串に刺して焼く、というシンプルな工程でありながら、何故かお肉をそのまま焼いて食べるよりずっと美味しく感じられる。
鳥貴族のようなチェーン店やホテイの焼き鳥缶なんかも好きだが、専門店で焼いたそばから出されたものを頂くのは至福の時間だ。
焼き鳥、というだけで美味しさが確約されているところがあるのだが、そんな中でも私の大好きなお店が伊勢廣さんだ。
京橋に本店があるが、これまでに2度伺ったのはどちらもホテルニューオータニ店。
https://tabelog.com/tokyo/A1308/A130803/13000174/dtlrvwlst/
店内はカウンターとテーブル席があり、ホテル内のレストランらしくかなり広々としているが、予約なしのお客様はお断りしていたりするのでお店の人気がうかがえる。
ささみなんて糖質制限者と筋トレの民しか喜んで食べないだろうと思っていた(好きな方ごめんなさい)私を平手打ちするかのような美味しさ。
さっぱりしているのにちゃんと肉の旨味があって、あっさりめの塩気とわさびの辛さの塩梅が良い。
ささみの旨さを啓蒙してくれる一串。
実はレバーは苦手な食材だったりする。
自分で注文するお店ならまず頼まないが、コースに組み込まれていては食べないわけにはいかない、と覚悟を決めて口に入れると、生臭さやいつまでも口に残る嫌な食感が全くない。
同じ食材でも職人が違うとこうも別物になるのか、と驚かされる。
大好きな砂肝。このコリコリした食感がたまらない。
一応タレで味付けされてはいるが、甘すぎず辛すぎずかなりさっぱり目の味付けで、その分砂肝自身の美味しさが引き立っている。
うずらの卵ってこんなに小さいのにどうしてか特別感があって好き。
関西ではざるそばにうずらの卵が付いてくるのだが、それが昔から好きだったので今でもうずらの卵を見るとちょっと嬉しくなる。
こちらがこのお店の名物。
お肉で太い葱を巻いており、かなり印象的な見た目。
肉は勿論、香ばしく焼かれた葱が甘くてすごく美味しい。
いわゆるつくね。
よくある柔らかいつくねではなく、かなり肉々しくて噛み締めて食べるタイプ。
一噛みごとに肉汁がゆっくり口の中に広がっているのがたまらない。
皮と身がどちらも楽しめる一串。
皮だけだと食感や脂っぽさが苦手な人でもこれなら美味しく食べられそうな、良いとこどりのずるい串。なんだかんだこれが一番好きかも。
終盤でちょっと変わり種を出してくるのが面白い。
かなり大きめで食べ応えのある切り身なので、鴨の甘い脂が口の中いっぱいに広がって幸せ。
最後を締めるのは手羽。
最後に量多めの串が来るので小食の人は少し苦しいかもしれないが、何とか腹具合を調整して完食していただきたい。
骨の付いた肉は美味しいというのが宇宙の真理だが、こちらの手羽は食べ終わるのがもったいないくらい。
普段は手羽ならタレ派だが、こちらの手羽はすごくジューシーで炭の良い香りがするので塩が合う。
合間に鶏スープやもろきゅうなどの箸休めもあって、大満足のコース。
どの串も素材や焼き方が良いのは勿論だが、特筆すべきは炭の香り。
串を手に取った時ふわりと鼻腔をくすぐる香りに、どんどん食欲が増してくる。
予約が取りにくい、という事は無いかと思うので、焼き鳥が好きな人には是非おすすめしたい素敵なお店。
ご馳走様でした!