呑んべんだらり

三度の飯と酒が好き

五嶋みどりさんのコンサートと香妃園@六本木

実は4歳から高校1年までピアノを習っていた。
ピアノを習いたくても習わせてもらえなかったらしい母の、自分の娘には絶対にピアノを習わせるという強い意志の元に始まった習い事だったが、師事していた先生がとても教え上手だった事もあって結構楽しくやっていた。
確か私が小学校高学年くらいの頃にグランドピアノを購入してもらい、当時の私もそれはそれは喜んだけれど、社会人になった今振り返るととんでもなく恵まれた環境にいてそれを自然に享受していた自分に驚いてしまう。
特に裕福でも貧乏でもない家庭の、元々両親の寝室だった和室に詰め込まれたあのピアノが、私の大学入学から全く弾かれなくなってそのまま処分されたのかと思うと、どうにも切ない気分になる。

娘がピアノをやっていたからかそれとも元々好きだったのか、家には色んなピアニストのCD BOXがあったし、コンサートにもよく連れて行ってもらった。
社会人になってからは全く行かなくなってしまっていたのだが、そんな折に父から「仕事で五嶋みどりさんのチケットが手に入るんだが、どうだ?」と誘われ、「行く!!!」と即答。
五嶋龍さんのコンサートには一度行った事があり、とても素晴らしくてCDを帰りに買ってしまったくらいなのだけど、五嶋みどりさんは初めて。
主に海外で活躍されている方なので、日本で聴ける機会は中々無いだろう。
持つべきものは父である。

サントリーホール

会場はサントリーホール。初めて行ったがホテルと同じ敷地にあるとは。
会場はほぼ満席で、年齢層も様々。昔の私のような、本人も楽器を習っているんだろうな~というお子さんを連れた家族連れも見受けられ、何だか懐かしくなる。
久々のコンサートはとっても素晴らしかった。やっぱり生の音ってすごいパワーがある。
友達に少しバイオリンを触らせてもらった事があるが、あんな不安定な楽器で正確に美しい音を出せる事が信じられない。
五嶋みどりさんも素敵だったけれど、一緒に演奏していたピアノとコントラバスの方もすごく良かった。室内楽って楽しそうでいいなあ。
ピアノの譜面台に置かれている楽譜がiPadだったのには驚いたが、あれは自動的にめくれるんだろうか。

プログラムと著書

帰りに著書を配ってらしたのでありがたく持ち帰った。
プログラムも濃い紺に金の箔押しが美しく、家に飾って良い時間を思い返したりなどしている。

そんなこんなで楽しい音楽の時間を過ごした後、父が何か食べて帰るかと言ってくれたので、実は夕食は済ませていたがご飯を食べに行くことに。
前の会社で働いていた頃、残業の後によく食べに行っていたという中華料理屋さんへ。

https://tabelog.com/tokyo/A1307/A130701/13001271/

六本木のお店らしく深夜まで営業しており、大変重宝したらしい。
中華料理のお店だが名物料理はフカヒレでも北京ダックでも麻婆豆腐でもなく、煮込み麺とポークカレーらしい。
麺はまだしもポークカレー?????と疑問に思ったが、かつての常連の勧めに従い上記の2つを注文。あと点心も食べたかったので春巻きも頼んだ(夕食は済ませている)。

海老春巻き

お、思ってたんと違う……!何だかスタイリッシュなやつ来た!
よくある春巻きと違って具はほぼ海老というシンプルさ。
細いタイプなのでザクザク感が強く、中のプリプリした海老との食感の違いが楽しい。
名物料理ではないのにしょっぱなから美味しい!と唸ってしまうものを出され、煮込み麺とポークカレーへの期待がいよいよ高まっていく。

煮込み麺

土鍋で提供される熱々の煮込み麺。スープは鶏で、とろりと粘度強め。
取り皿によそってまずスープを口に含むと、鶏の出汁がかなり効いていて、優しい味なんだけどしっかり旨味が主張してくる、とんでもない美味しさ。
昔、新宿御苑にある玄海さんという水炊きのお店に行った時も、スープがあまりにも美味しくて一生飲むのをやめられないんじゃないかと恐怖を感じるくらいだったが、これもそれくらい美味しかった。
麺は普通の中華麺ではなく、ストレートで少し太め。五島うどんみたいな感じでスルスルいける。

ポークカレー

夢中で煮込み麺を食べていると、疑惑のポークカレーが到着。
皿から零れんばかりに盛り付けられている。
六本木にあるお店だが、良い意味で気取らない盛り付けがホッとする。
カレーは実は好きでも嫌いでもなく、一人暮らし民の強い味方とされているがおそらく人生で5回も作った事がない。もちろん外でも滅多に食べない(グリーンカレーやバターチキンカレーは別)。
どれどれ、と口に運んでみるとあまり辛くなくてまったりとした、懐かしい味。
無いはずの昭和の記憶が呼び起こされるような不思議な感覚。日本のカレーの完成形はこれじゃないかと思う。
豚肉がゴロゴロ入っていて、ルウにもしっかり肉の旨味が出ていてご飯無しで飲みたいくらい。
味はまったりしているがルウはそれほど粘度が高くなく、小麦粉はあまり入っていないのかな?
これは確かにまた食べたくなる味で、名物になるのも頷ける。
ちなみにビーフカレーもあるが、こちらは特に推されてはいない模様。何故だ。

やはり人生の大先輩である父は良いお店を知っているな~
遅くまで仕事をして、ここで仕事仲間と食事をしてちょっと元気を出して、また会社に戻ったりそのまま家に帰ったりしていたのかと思うと頭が下がる。
ご馳走様でした!