呑んべんだらり

三度の飯と酒が好き

焼き鳥 ひら野@銀座

3、4年前に日本酒が好きな人たちが集まる大規模飲み会に参加した。
基本的に交友関係を広げたい欲が無い人見知りなので、こういう知らない人たちが沢山いる飲み会には参加したくないのだが、当時而今という日本酒の美味しさにドハマりしており、かといって酒屋では中々買えないし飲めるお店も限られている上に高い。
而今飲みてぇ~と色々検索していたら、而今十四代のようなプレミア日本酒も含む色んな日本酒をでっかい会場で飲む立食パーティ的なものがヒットした。
参加費は確か7000円か8000円くらいだったかな?たまにはこういうのも参加してみるかと、勇気を出して参加の申し込みを行った。

そして当日、而今は一応飲めたんだけど食事や水の用意がほぼ無く、しかもこれ男女の出会い目的のパーティだったようで何か異様な空気が流れていたし、日本酒を楽しむという目的はあまり達成されなかった。
これならお店で一人飲みした方が良かったな~なんて思いながらお手洗いに行ったら、そこで前に並んでいた人達と何故か意気投合し、連絡先を交換して後日何度か飲みに行った。

最初は私を含めて4人だったのだが、コロナ移行も連絡を取り続けていたのはその内の1人だけ。
その方はご家庭の事情でコロナ中はずっと自粛されていたのだが、そろそろ流石に外食しても良いだろうという事で、2年の時を経て遂に感動の再会となった。
コロナ中は月1で近況報告の長電話をしていたのだが、そこでお互い行きたいお店や行って良かったお店の話をしていて、その内の一つがこちらのひら野さんだったというわけだ。

https://www.yakitori-hirano.tokyo/

確か伺ったのは水曜の18時頃だったと思うが、店内は満席。
カウンターのみでおそらく10席ほどのこじんまりとしたお店だが、開店して間もないお店なので内装が新しく生活感があり、狭苦しい感じは全くない。

最初の盃

なんと最初は盃の日本酒から。

盃の中身

中身はこちら。これ結構美味しくて、こんな良い日本酒を食前酒に頂けるとは……!と期待値が上がる。

ハイボール

何故ハイボールの写真を撮っているのかというと、その奥の豆皿が我が家の豆皿と同じものだったから。
銀座にある石川県のアンテナショップで一目惚れした、九谷焼の豆皿。めっちゃ可愛くてお気に入り。
他の席には九谷焼の他の柄の豆皿が備えてあったので、自分の席にこれが来たのは完全に運命。

焼き栗豆腐

一発目からなんじゃこりゃ!?とびっくり。
焼き栗豆腐なんて初めて食べた。味は結構想像通りで、栗の優しい甘みともちもちのお豆腐の食感が心地よい。下には栗のペーストが敷いてあり、こちらは結構甘い。
豆腐というより求肥と生麩を合わせたような感じで、とても上品な和菓子のような一品。

じゃこサラダ

カリッカリのじゃこがたっぷり乗っているサラダ。
カリカリの食べ物は何でも美味しいの法則。

せせり

絶対大優勝の部位。鳥の首の肉なんて、一羽からほんのちょっとしか取れないだろうに……
贅沢な命の旨味とありがたさを感じる。

膝のなんこつ

なんこつ特有のコリコリした食感に加え、少しだけ付いている肉や脂がジュワっと口の中に広がって、食感と味の両方で楽しめる。
軟骨はヘルシーなイメージだけど、これは結構存在感のある串だった。

アスパラ

スーパーで売っているもやしの親戚みたいな細いアスパラ3本分くらいある、立派なアスパラ。きっと毛利元就に師事しているんだろう。
アスパラは色んな食べ方があるし、自宅では醤油バターで炒めるのが好きだけど、こういう美味しいアスパラは炭火で焼いて塩で頂くのが一番美味しい。

ささみ

ささみとか胸肉ってパサパサしているイメージだけど、美味しい焼き鳥屋さんだとすごくしっとりしていて、本当に同じ肉なの!?とびっくりしてしまう。

つくね

見ただけで美味しいのが分かるつくね。
紫蘇が入っていると言われ、紫蘇が苦手なのでちょっと身構えつつ口に運んだが、つくねのジューシーさとタレの甘辛さを上手く紫蘇が中和させていて、すごく美味しかった。

秋鮭の酢の物

鳥の店なのに海の幸まで上手く扱っちまうのか…!と戦慄した。
秋鮭なので身はさっぱりしていて、濃厚でプチプチのいくらと合わせるとバランスが丁度良い。
酢の物だが酢のツンとした感じはあまり無く、ほのかな酸味が口の中をさっぱりさせてくれる。

かしわ

丸々とした身にタレがつやつやと光っていてビジュアル100点。
噛むとどんどん肉の旨味と甘みが広がっていき、肉を食べた満足感が強い。

本ししゃもの東寺揚げ

東寺揚げというのは、湯葉で包んで揚げたものらしい。
ただでさえ美味しいししゃもを、美味しい湯葉で包んで揚げるとは。
一応揚げ物に分類されるのだろうが、湯葉はサクッと軽やかで油が変に舌に残るような事は無く、とても香ばしい。
ししゃもの身もほくほくしていて、すだちの酸味が最後に上手く締めてくれる。

ちょうちん

大好きな部位。置いているお店は限られるので、メニューにあったら絶対食べてしまう。
卵管の部分はホルモンのようなしっかり目の食感だが、ホルモンより脂は少なく割と淡白な味わい。
その先にあるきんかんをパクっと一口でいくと、とろ~っと濃厚な黄身が流れ出す。
口の中で2度楽しめる、贅沢な串。

銀杏

秋ってやっぱり美味しいものが多いよなあと再確認。
足で踏むと臭いし、あまり食べ過ぎると体に毒(特に子供にらしい)が、甘くてねっとりした木の実にほんの少し混じる苦味が癖になり、もっともっとと食べたくなってしまう。
思えば苦味を美味しく感じる最初の一歩は銀杏のおかげで踏み出せたような気がする。

砂肝

何気に塩で頂く鳥の串は今回砂肝が最初か。
コリコリしているけど軟骨と違ってがっつり肉の旨味を感じられるが、脂が無いのですごくさっぱりしていて美味しい。

手羽

ラストを飾るのは手羽先。
骨の付いた肉は全て美味しいが、特に手羽先は皮がパリッとジューシーで身が柔らかくて大好き。
手羽先を食べ終わったタイミングで店員さんが新しいおしぼりを持ってきて下さり、流石のサービス。

締めの親子丼

締めのご飯ものは肉そぼろ丼か親子丼で選べる。連れの方はそぼろ丼にしていて、そちらも美味しそうだった。
見た目に反してかなり味付けが濃い目でご飯の量を倍いるでこれ……と思ったが、味はめっちゃ美味しい。卵は割としっかり固めで、鶏肉の旨味をしっかり吸っていた。
丼で頂くより、アタマだけを日本酒と合わせてつまみに頂く方がいいかも。

プリン

デザートにプリンは嬉しすぎるだろうが~!!!しかもこの見た目、美味しいだけじゃなく可愛さまで兼ね備えていてやり過ぎである。
しかもスプーンとフォークがクチポール。九谷焼といい、こちらの食器やカトラリーのセンスがすごく好きだ。
プリンはスプーンを入れると結構固めかな?と思ったが、口の中に入れた瞬間とろとろに融けた。
ちょうちんのきんかんよりトロトロだったかもしれない。
そのままでも卵の美味しさを感じられて美味しいが、カラメルをかけると更に美味しい。
真ん中に鎮座している巨峰も甘くて美味しかった。

こちらのお店はおまかせのコースのみ。
アラカルトをどれにしようか考えるのも楽しいが、一番美味しいタイミングで色んな料理を出して下さるコースも、次にどんな美味しいものが来るんだろうとワクワクしてしまう。
久々の再会にぴったりの、贅沢で美味しい時間を過ごさせていただき、同行者の方にもとても喜んでいただけた。
ご馳走様でした!