呑んべんだらり

三度の飯と酒が好き

一重が二重になったと思ったら一重に戻った

世の中、様々なコンプレックスがあるが、一重はその中でも普遍的なものの一つだと思う。

私もそのコンプレックスを抱える者の一人で、両親が二重なだけにより一層「なんでや」という鬱々としたものを抱えてきた。
しかも二重の持ち主たちは「一重でも美人の人いるじゃん」などと言って女優さんの名前を出してきたりするが、そんな雲の上の人間の話をされても「はぁ…そっすね…」としか言いようがない。

不憫に思ったのか、母が昔メザイクという二重を作るグッズを買ってきてくれた事もあったが、ずぼらな私には向いておらず早々にクローゼットの肥やしとなった。

そんなこんなで一重と共に生きてきた人生だったのだが、三十路を迎えたある朝、起きたら唐突に左目だけ二重になっていた。
寝起きで瞼が腫れぼったい時だけ二重になることはそれまでにもあったので、今回もまたそれだろうと思っていたら、昼が過ぎ夜になり、翌日になっても定着した。
それ以来、私は一重と二重を抱えて生きていくこととなる。
自分の顔面で雑誌や動画でよくあるメイクのビフォーアフターをやっているようなものだ。
(ちなみにこういう目は雌雄眼というらしいのだが、どちらが雌でどちらが雄なのだろう)

かくして自分の顔面半分同士で格差を抱えることになってしまったのだが、つい先日なんと右目も二重になっていたのだ!!

まだだ、まだ分からんよ…と自分に言い聞かせ、昼を過ぎても二重が維持されていることに喜び、その勢いのまま「一重が二重になった」というタイトルで浮かれたブログを書こうと思ったが我慢。
そして夕方になっても二重は定着……する事はなく、ゆるゆると一重に戻ってしまった。
もし浮かれたテンションのまま「一重が二重になった」というブログを書いていたら、その後に「二重が一重に戻った」と別記事を書かなければならなかったので、慎重に成り行きを見守った自分の英断を褒め称えたい。