呑んべんだらり

三度の飯と酒が好き

Peter(ザ・ペニンシュラホテル東京)@日比谷

私が働いている職場では、取引先へのお中元・お歳暮などに伊勢丹を使っている。
その絡みで、毎年ホテルで使用できるチケットが手に入るらしく、そのチケットを使用しての食事会にお誘いいただき、職場の方々とペニンシュラホテルのダイニングである、Peterに伺ってきた。

メンバーは5人。本当は6人だったが1人は体調不良でキャンセルとなった。
自分以外の4人の内、日頃から話すのは1人だけだった上、普段職場ではあまり雑談自体されない方々だったので、どんな食事会になるんだろうと正直不安に思っていた。
しかしペニンシュラのディナーを頂く機会なんでそうないので、不安より美食への欲求が勝って参加。

ペニンシュラは以前、友人とアフタヌーンティーで訪れた事がある。

この時は思ったほどレベルは高くないのかな……なんて生意気にも思ったりしたのだが、Peterさんでいただいたディナーはとっても大満足の内容だった。

受付からダイニングに続く道がとても美しい。

本日のメニュー。
コースでお料理をいただく際、このように座席にメニューが置いてあると、これからどんな料理が来るのだろうとワクワクするのですごく好き。
想像通りのものが来たり、思っていたのと違うものが来たり、どちらに転んでも面白い。

前菜。左がカルパッチョで右がカプレーゼ。
昔はプチトマトがあまり好きではなかった(トマトはずっと大好き)だが、麹町のムツミさんでとびきり美味しいプチトマトをいただいて以来、カプレーゼのトマトがプチだと期待が高まってしまう。
こちらのトマトもとっても美味しくて、ブッラータはまったく癖が無くチーズの美味しさだけをぎゅっと閉じ込めた味がした。
おそらくほんの少しオリーブオイルや塩や何かがかかっているだけだろうに、何故こんなに美味しくて完成された味になるのだろう。毎回不思議に思ってしまう。


前菜と一緒に置かれたこちら、なんと海苔。
これでカルパッチョを巻いて食べるらしい。メニューに記載のコンディメントが何か分からず調べたところ、調味料の事らしい。
和風の味付けがされたカルパッチョなので、海苔に合うという事か。
こういう食べる前にちょっとした作業が必要な料理、大人の知育菓子って感じで楽しい。
海苔にカルパッチョを載せて食べてみると、確かに和風の味付け。お寿司屋さんのつまみで出されてもおかしくない感じ。
カルパッチョだけで食べても美味しいが、海苔と一緒に食べると磯の香りと鯛の旨味が合わさってなお美味しい。

ほうじ茶を練り込んでいるというブレッドと、ホイップバター、味噌のディップ。
ここでも和風を盛り込んでくるとは驚き。特に味噌のディップでパンを食べるなんて、とても新鮮。
ブレッドは私の好きな固めのドイツパンみたいな食感で、ほうじ茶の香ばしさが程よく感じられる。
質実剛健、という言葉がぴったりなブレッドだが、ホイップバターを載せると途端にとっつきやすくて柔和な雰囲気に早変わりする。
味噌のディップは想像よりあっさりしていて、何か知っている味がしたのだけど何かが思い出せない……
私はバターだけでいただく方が好きだったけど、初めて食べる味でどちらも美味しかった。

マッシュルームのスープ。
ものすごく濃厚で、この一杯の為にいくつのマッシュルームが使われているのだろうと思うと頭が下がる。
お料理を出される前に、スタッフの方からアレルギーや苦手な食材の有無を聞かれ、紫蘇をよけていただいた。
他の方のスープには紫蘇の花穂が散らされていたのだが、花穂なら私もそんなに気にせず食べられたかも。
つい甘えてしまったけれど、出来るだけ料理は本来の作り手の意図のままに食べたい。

メインは牛サーロイン。サーロインではあるけれど、霜降り満載!という感じではなくてどちらかというと赤身の美味しさが感じられる好みのグリルだった。
焼き加減はレアでお願いしていたので、切り分けた時に赤いお肉の断面が顔を覗かせて、口の中でジューシーな脂と肉の甘みが弾けていく。もうちょっと食べたいな、と思うくらいのちょうど良い量。
付け合わせは玉ねぎかと思いきや、カブ。上のソースもバジルではなくカブの葉を使ったものらしい。
柔らかくて瑞々しいカブが、こってりしたお肉と相性が良い。やはりここにも和の風を感じる。

最後を飾るのは、マンゴープリン。
ペニンシュラのマンゴープリンは有名なのでとても楽しみだったのだが、期待以上に美味しかった……
人生で一番美味しいマンゴープリンだったかも。
「滑らか」と辞書で引いたらこれが出てくるんじゃないかと思うくらい、口当たりが良くて固体なのが不思議なくらい口の中ですっと溶けてしまう。
添えられているマンゴーやキウイ、パイナップルなどのフルーツも流石ホテルで用意されているものだけあって、しっかり熟していて美味しい。
南国系の果物やそのデザートは独特のえぐみがあるので普段あまり食べないけれど、このマンゴープリンなら毎日でも食べたい。ホテルのブティックでもカップ入りのものを販売しているので、お持たせにしたら喜ばれそうだ。

最初から最後まで、本当に美味しい料理を満喫させていただいた。
スタッフの方のサービスも気持ちよく、ホテルで贅沢な食事を取る醍醐味を存分に感じられた。
私の甲斐性では普段使い出来るお店ではないけれど、何かの記念や良いことがあった時のご褒美にはぴったりのお店。

食事会自体も、社歴の長い方たちから昔と今の違いなんかを聞いたり、資格試験の勉強をしながら働いている方(食事会には不参加)をこういう形でサポートしたいと話し合ったり、とても有意義で楽しくて笑いっぱなしの時間だった。
やっぱり色んな世界に飛び込んでみるって大事だな。

ご馳走様でした!