フレンチ、というジャンルに縁の無い生涯を送ってきました。
多分子供の頃にお祝いで祖父母も含めた家族で行ったりはしていたと思うんだけど、正直全然覚えていない。外食で覚えているのは北海道で食べたお寿司の美味しさと、金沢で食べたお寿司の美味しさで、寿司に支配されている。
外食の記憶よりも、家で食べたすき焼きだとか、出前で取ってくれたお寿司だったりとか、お家で食べた豪華なご飯の記憶ばかり残っている。
大きくなってから食べたフレンチの記憶は、学生の時に行った恵比寿のモナリザというお店。
当時通っていたバーの店員さんにオススメされて、ちょっと背伸びしたい年頃だった事もあり友達を誘ってドキドキしながら行った覚えがある。
ちなみにめちゃくちゃ美味しかった。
それ以外でフレンチに行ったのは、多分大抵ランチ。
京橋のサカキさんもジャンルはフレンチだがどちらかというとビストロ寄りだと思っているので、クラシックなフレンチのディナーというと中々行く機会が無かったのだ。
そんなわけでフレンチに漠然とした憧れを抱いていた私だが、Nさんが次に行くお店の候補を挙げていただいた中にフレンチがあったのを見て、是非ここに行きたい!とお願いしてしまった。
いつもありがとうございます本当に……!
https://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13270040/
大手町駅直結という好立地の場所にあり、入店するとめちゃくちゃ天井が高いロビーに通される。
内装も煌びやかでまさに私が憧れている王道フレンチのお店という雰囲気でテンション急上昇。
メニューを見ても今日どんな料理が供されるのか全く予想がつかなくて笑ってしまった。
ちなみにこの日の料理は全く私の辞書にない未体験のものばかりだったので、上手く脳内ノートに書き込む事が出来ず普段より一層簡素な感想になってしまっている事を予めお詫びしておきます。
一発目から何だこれは…と絶句。
岩の上に岩が乗っているが?食べ物?罠?と困惑していると、店員さんが料理の説明をしてくれる。
なんと福島の鯉のペーストを中に詰めた、こちらの名物アミューズらしい。
この黒さは竹炭を練りこんでいるから。
恐る恐る口に運んでみると、アメリカンドッグのような生地の中から鯉のペーストが。
見た目とは裏腹に馴染みのある食感で美味しかった。
これは何?次のメニューは洋梨 キャヴィアって書いてあるけど?
と思っていると……
続いてこれが提供される。
これは間違いなく洋梨!ではこの筒状のやつはキャヴィア担当か。
あの筒状のやつはホエイとセロリとキャヴィアで作ってあって、洋梨の飴に乗せて食べるらしい。
セロリは苦手だが青臭さはなく、何かすごい味がすると語彙力0の状態で頂いた。
これ写真の明るさ調整したんだけどそれでも何も分からないよね。
タルト生地の中にバナナのペーストが入っていて、トレヴィスという香草がてんこ盛りになっている。
ブーダンドックと同じく、見た目とは裏腹にバナナの優しい甘さと香草のほのかな苦味が合わさって美味しい。
ぺろっとした板状のゼリー。ちなみに下の氷は食べられない。
唐墨の塩気が効いていて、ちゃんと唐墨だ!と思った覚えが。
ゼリー状になった海鼠の上に、雪の結晶を模した大根が乗っていて何とも可愛らしい。
これが……
こうなる!
生姜の入ったアイスパウダーが振りかけられて、一瞬で小さな銀世界が広がる。
海鼠は独特のコリコリした食感がしっかり感じられ、大根と生姜のあっさりした風味とよく合い、演出も相まって印象的な一品。
エゴマの葉の下にツブ貝が隠れている。
結構エゴマの葉に癖というか独特の苦みがあったけど、中のツブ貝と食べると良い感じに中和されて途端に美味しく感じた。
ちなみに韓国ではエゴマの葉がよく付け合わせに出されるらしく、そのエゴマの葉をパートナー以外の人間に取ってあげる事を許せるかどうか?というエゴマの葉論争があるらしい。
これ、多分メニュー外なのかな?
トロットロの骨髄をスプーンで掬って食べる。これ自分はお気に入りだったけど、結構人を選ぶかもしれない。
ちょっと煮凝りっぽいと思った。
こちらはキノコ担当。
削りたてのトリュフとマッシュルームだったかな?のフワフワのエスプーマ。
ものすごく濃厚なキノコの香りと旨味を感じて、フレンチの奥深さを実感。
食材を泡にしようと思うか普通。
カリカリのパンの上にメカジキの生ハムと茗荷を乗せたもの。
メカジキの生ハムなんて初めて食べたけど美味しかった。
料理が供された後に熱々の油を上からかけてくれるので、めっちゃ香ばしい香りとジュワーっという音に食欲をそそられる。
ポン酢とかも付いてきてたけど、このおつゆがめちゃくちゃ美味しくて出汁がめっちゃ出てたので、ポン酢はほぼ使わなかった。
なんとおこげまで付いてくる!思う存分この出汁を味わってくれという店の想いが伝わった。
ちなみに黒い玉はブーダンドックではなく焼き石なので食べられない。
今日唯一と言ってもいい、馴染みのある見た目の料理。
しっとりと柔らかいお肉で、ジビエ特有の臭みも全く無くめっちゃ美味しかった。
見た目や演出に趣向を凝らしたお店のメインがこういうシンプルな料理、という構成がすごく面白いし、これまでのバラエティに富んだ料理を置いてメインを張るだけの美味しさも備えていた。
2022年に食べたお肉の中で3指に入る美味しさ。
確か文旦のシャーベットだったかな?
左半分はミルクっぽい味わいで、さっぱりとこってりが味わえて美味しかった記憶。
キャラメリゼされたリンゴの上にリンゴの飴が乗っているリンゴ尽くしの一品。
これめっちゃ美味しかった!クレームブリュレみたいに上の飴をちょっとずつ崩して食べるのも楽しいし、アップルパイの中身みたいなトロトロのリンゴも濃厚な甘さの中に爽やかな酸味も感じられて大好き。
見えにくいが、赤く美しい液体の中に葛切りが入っている。
ハイビスカスが入っているからハーブティーの様な美しい色合いになっているらしい。
しかし一口食べてみると完全に黒蜜の味がして、まさかの和風デザート。
料理は化学だと言うが、脳がバグる感覚がして美味しい上に面白過ぎた。
ディルの入ったゼリー。申し訳ないが、ディルの香りが苦手なのであまり印象に残っていない。
わ~~~~~~~~~♡
思わず♡を使ってしまうくらいテンションが上がってしまうフィナンシェ好きの自分。
なんか宝石とかを乗せる用なのでは?という器にちょこんと乗せられたフィナンシェ、神々しい。
かなりしっかりと焼かれたフィナンシェで香ばしく、サイズも小さめでペロリと平らげた。
カタツムリみたいな可愛いチョコレート。
店員さんが「東京ばな奈っぽい感じ」と仰るので口に含んでみると、確かに東京ばな奈。
固いチョコの中に柔らかいチョコが入っているタイプ。
最初から最後まで未知との遭遇がたっぷり用意された、エンターテイメント性の高いコースだった。
店員さんがとっても丁寧にお料理一つ一つを説明して下さるので、それも含めてすごく楽しい時間が過ごせる。
かなり創作性の高いフレンチなので王道を求めていくと戸惑ってしまうかもしれないが、どういう発想でこの料理を作ったのだろうと思わず考えてしまうほど、いつの間にか独特の世界に入り込んでしまう不思議な魅力がある。
ただ美味しい料理は飽きた、なんてグルメな人には是非行ってみて欲しいお店。
ご馳走様でした!