呑んべんだらり

三度の飯と酒が好き

ベンジャミンステーキハウス@紀尾井町

出来れば時系列順に記事を書いていきたいと無駄なあがきを続けていたが、自分の写真フォルダを遡るのに疲れたので素直に書けるものから書いていく方針に変更。

という訳で、つい先日伺ったのがベンジャミンステーキハウスさん。
ベンジャミンさんはニューヨーカーに愛されるステーキハウスで、この紀尾井町店は日本で3店舗目との事。
私の勝手なイメージだと、アメリカ人は外食でステーキを食べ家ではBBQで肉を食べている超肉食人種なので、そんな肉の本場アメリカで支持されているお店となると期待も膨らむというもの。

ステーキといえば、子供の頃は近所に住む母方の祖父母とよく外食に行っており、何故かやたらとステーキを食べさせてもらっていた。
勿論ステーキも美味しいが、何でこんなにこの人たちは肉を食べさせたがるのだろうと子供心に不思議に思っていたのだが、祖父母からしたらくら寿司や近所のイタリアンのスパゲティをステーキより絶賛する孫の方が不思議だったかもしれない。

そんな折に、エヴァンゲリオンというアニメを見ていたら「今時の子供がステーキなんかで喜ぶと思ってるのかしら」というような台詞が出てきた。
この台詞を聞いた時、確かにステーキ=ご馳走という図式はちょっと古いかもしれないと思うと同時に、祖父母がやたら私にステーキを食べさせてくれた理由が分かった気がして、とても印象に残っているシーン。

子供の頃に人生の定量を食べ尽くしてしまったせいか、大人になってからはとんとご無沙汰だったステーキとの久々の対面やいかに。

どうやらこちらのお店はお料理の量が多いらしいので、サラダの代わりにマグロのタルタルを。
宝石のように美しいタルタルを、お店の方が綺麗に取り分けて提供して下さる。

タルタルを混ぜると生ハムのような綺麗なピンクに。
さっぱりしていて美味しいが、先日マグロマートのマグロを知ってしまった後だと少し物足りなさも感じる。

ロブスターのビスク。
これがとんでもない伏兵で、元々海老のビスクは好きだったがこれは今までに飲んだビスク、いやスープ全体においても1、2位を争う程に素晴らしい美味しさだった……
お鍋いっぱいのスープを一日中飲んでいたいくらい。
テーブルに置かれた瞬間から、鼻腔をくすぐる甲殻類特有の香ばしい香り。
シンプルな見た目からは想像出来ない程、濃厚で洗練された味わい。
一体どれほどのロブスターがこの一杯の為に使われているのか。
ロブスターをスープでいただくのは初めてだが、オマール海老にも渡り合える美味しさにただひたすらスプーンを口に運び続けた。

手前がエゴマのパン、奥がクルミのパン。
エゴマのパンはかなりハード系で、噛み締めるとエゴマのプチプチした食感がして楽しい。
クルミのパンは柔らかくてほんのり甘い。
今回Nさんにお連れいただいたのだが、Nさんは夜炭水化物を召し上がらないので、Nさんの分のパンもいただく事に。
一緒に提供されたホイップバターと、ビスクを一滴残さず拭うのとで美味しい食べ方を堪能させていただいた。

そしてお待ちかねのTボーンステーキ。
ちょっと隙間があるように見えるのは、既に店員さんが取り分けて下さった後だから。
この写真だと昔の日本の占いで使ってたカメの甲羅みたいだが、元の大きさは思わず歓声を上げてしまうくらいにはデカいし、ジュージューと食欲のそそる音も立てているしでめちゃくちゃ美味しそう。
奥がサーロインで手前がヒレらしい。

焼き方は店員さんオススメのミディアムレアで。
外側はパリッと焼けていてバターの良い香りが広がるが、内側はレアのお肉らしい瑞々しさがあって、ステーキは火加減の料理なのだなと思わずにいられない。
テーブルには備え付けのオリジナルソースもあって、これもケチャップ強めの甘みのあるソースで美味しかったが、そのままバターと塩コショウで味付けされたお肉が一番美味しいのだからすごい。
サーロイン側には骨についているお肉が少し残っていたのだが、切り分けたお肉を食べ切った後にこの部分も丁寧に切り分けて下さる。
骨についていた部分は先に食べたサーロインより更に脂を感じ、煮込んだかのようにホロホロで柔らかかった。

グリーンアスパラのソテー。
スーパーで売っているアスパラとは長さも太さも段違い。
これもバターと塩コショウ、そしてガーリックのみの味付けなのにフォークが止まらない美味しさ。

世の中には色んな美味しいものが溢れているけれど、ここのステーキは間違いなく「ご馳走」だ。
外国から肉食文化が入ってきて、初めて肉を食べた日本人もこんな気持ちになったんだろうなと思いを馳せてしまうくらい、肉の美味しさを再確認させてくれる素敵なお店だった。

今回食事の前と後にテラスでお酒を飲んだのだが、テラスからの眺めや雰囲気もすごく良い。
スタッフの方も皆さん感じが良くて丁寧で、お料理のみならずサービスにおいても特別な日にピッタリだと思う。

ご馳走様でした!